とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
再会
翌朝バスルームの鏡に映った自分の顔を見て、忍は溜め息をついた。
「…最悪…酷い顔…」
寝不足のうえ泣いてしまったせいで瞼が腫れてしまい、とても人前に出れる顔ではない。
冷たい水で冷やしたタオルを目の上に置いてソファにドカッと座る。
部屋の電話が鳴り、忍は手探りで受話器を取ると『Hello?』とかったるそうに言った。
『…なんだい、そのオッサンみたいな出方は…』
『どうせオッサンですよ、私…』
そう言う忍にニコールがクスッと笑ったのが判った。
『朝食に行かないかい?Mr.…』
『あと15分待ってください…Miss.…』
そう言って受話器を置くとしばらくそのまま動けなかった。
火照った瞼が冷やされて気持ちが良い。
思わず寝てしまいそうになり、ハッとして起き上がった。
もう一度バスルームの鏡で顔をチェックする。
『だいぶマシか…』
軽く化粧をすると意外と目立たなくて安心した。
近くのカフェで朝食を取る。
『さっき昨日の運転手に遭ったんだ。』
『今日は行けそうですか?』
『いや…酷い嵐だったからねぇ…』
それを聞いて肩を落とした忍を見てニコールは『そこでだ!』と声のトーンを上げた。