とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
早速馬車に乗り込んだ一行はのんびりと山道を走り出した。
『お国は?』
『俺はイギリス。彼女は日本だ。』
『日本!?…この前も日本人が居たなぁ…』
その言葉にニコールと忍は顔を見合わせた。
『そ…それって、男の人!?』
『え?…ああ、男だったよ。カメラマンらしい。』
カメラマン…じゃあ違うか…。
落胆する忍を見てユーリはニコールに目を向けた。
『…マズイ事言ったかな…』
『イヤ…そんな事ない。』
『…ならいいんだけど…』
そう言ってユーリは小さく息をついた。
道はだんだんと狭くなり、仕舞いにはゴウゴウと地響きに似た音を立てて流れる川にさしかかった。
『昨日の嵐で今日は大荒れだ。二人とも落ちないようにね?落ちたら助けられないからね~ハハハ!』
ハハハ!ではない…。
ひきつる忍は思わず『本当に大丈夫なんですか!?』と聞いた。
本日二回目である。
『え?何が?このつり橋の事かい?』
『全てにおいてですよ!』
焦っているのは忍とニコールだけで、ユーリと馬には余裕すら感じた。
『いや~さすがに怖いね~…』
その言葉に二人は蒼白になる。