とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




絶叫スポットを抜け、ニコールと忍は今度こそ本当にグッタリして動けなくなった。




その様子をユーリは楽しそうに見ては笑った。




…この笑顔に騙された気がしてならない…



口数が極端に減った二人を『大丈夫~?』とユーリは覗き込んだ。



風にざわめく森にさしかかった時、上空に大きな鳥が見えた。



『…なんて鳥…?』



『えっ?どこ?』



『ほら、…あそこに大きな…』




その鳥を見上げてユーリは急に真顔になった。



『…マズイな…』



馬車を止めてユーリは空に向かって口笛を吹いた。



旋回していたその鳥は急降下すると近くの枝に舞い降りた。




『バージ!君の主人を連れて来てくれ!』



ユーリがそう言うとバージは再び舞い上がった。



『…彼女は友達の相棒でね…とても頭がいいんだ。』



ふーんと飛び去った鷲を眺めていた忍とニコールにユーリは向き直った。



『二人ともよく聞いて。あの鳥が姿を現したって事は近くにアイツらが居るのかもしれない。』



『アイツらって…?』



『強盗団だよ。昨日もこの辺りで被害があったんだ。』



強盗…?



そう言われて二人はタクシーの運転手の話を思い出した。



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