とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
「…なめんじゃないわよ…!」
忍は倒れたユーリの前に立つと構えた。
『へっ!お嬢ちゃん、やる気かい?』
忍は睨みながら少し口角を上げた。
『女だから手が出せないの?…それとも…女にも勝てないくらい弱いの?』
忍の挑発に男は何か悪態をついてバットを振り上げた。
忍はそれを避けると、よろけた男の腕を蹴り上げた。
バットが宙を舞って吹っ飛ぶ。
そのまま驚いた顔の男に腕を突き出し顎にを殴る。
『テメー!女のクセに!』
繰り出された拳を身を屈めて避け、そのまま腕を掴むと背負い投げた。
それを見た強盗は一斉に忍へと襲いかかる。
さすがの忍も内心ヤバイと感じたが、二人を置いて逃げる訳にはいかない。
巧みに避けて隙をついて回し蹴りを見舞う。
一人伸して“よし!”と思ったが後ろから羽交い締めにされ、思いっきり捻り上げられた。
「ああああああッ!」
あまりの痛みに叫び声を上げた。
『じゃじゃ馬が…!手を焼かせやがって!』
そう言うと忍は頬を叩かれた。
悔しくて睨み付ける。
男は忍の顎を掴むとグイッと引き寄せた。