とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




「…なめんじゃないわよ…!」



忍は倒れたユーリの前に立つと構えた。



『へっ!お嬢ちゃん、やる気かい?』



忍は睨みながら少し口角を上げた。



『女だから手が出せないの?…それとも…女にも勝てないくらい弱いの?』



忍の挑発に男は何か悪態をついてバットを振り上げた。



忍はそれを避けると、よろけた男の腕を蹴り上げた。



バットが宙を舞って吹っ飛ぶ。



そのまま驚いた顔の男に腕を突き出し顎にを殴る。



『テメー!女のクセに!』



繰り出された拳を身を屈めて避け、そのまま腕を掴むと背負い投げた。




それを見た強盗は一斉に忍へと襲いかかる。




さすがの忍も内心ヤバイと感じたが、二人を置いて逃げる訳にはいかない。




巧みに避けて隙をついて回し蹴りを見舞う。



一人伸して“よし!”と思ったが後ろから羽交い締めにされ、思いっきり捻り上げられた。




「ああああああッ!」



あまりの痛みに叫び声を上げた。




『じゃじゃ馬が…!手を焼かせやがって!』




そう言うと忍は頬を叩かれた。




悔しくて睨み付ける。




男は忍の顎を掴むとグイッと引き寄せた。




< 83 / 461 >

この作品をシェア

pagetop