とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
欠片
最近の右京は早起きだった。
しかも機嫌がいい様に見える…
何処と言われると答えに困るのだが…
ミーシャは嬉しそうにユーリと仕事へと出掛ける右京を不思議そうに見送る。
『何かいい事でもあったのかしら…』
気になるけど、どう聞いたらいいか悩む。
『姉ちゃん、どーしたの?』
『えっ?…な…何が?』
『ボーッとして…具合悪いの?』
『そんな事無いわ。…さぁ、あんたも早く学校行きなさい!』
コーディは追い出す様にミーシャに見送られ『いってきます』と元気に走って行った。
家事をしながら右京の事ばかりが頭に浮かぶ。
ユーリに以前『ウキョウは駄目だ!』と言われたが、そう言われてハイと従えるミーシャではない。
駄目と言われると余計気持ちに拍車がかかるものだ。
いつもの様にスーザンおばさんの手伝いをしている時も“どう自分をアピールするか”をぼんやり考えていた。
ぼんやりし過ぎていて、おばさんがじっと見つめていることにも気付かない。
『ミーシャ…?大丈夫かい?』
かなり間をあけて『えっ?』と我に返る。
『何か言った?』
『ボーッとして…どうかしたのかい?』
『ごめんなさい…ちょっと考え事してたの。』
ミーシャは慌てて笑って誤魔化した。