とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
右京は一番気になっている事を忍に聞いた。
「俺と忍って…ぶっちゃけどのくらいの仲なの?」
「……えっ?……」
「恋人同士なんだろ?」
「…そうだけど…」
「どこまでの仲なの?」
「なっ…何でそんな恥ずかしい事聞くの!?」
みるみる顔を赤く染める忍に「恥ずかしいの?」と右京は首を傾げた。
「恥ずかしいわよ!」
「…そうか…恥ずかしい事も出来る仲なんだ…」
からかってるのかと思ったが、どこか寂しそうに微笑む右京に気付いた。
「…右京…?どうしたの?」
「…何か自分の事に思えないんだ…。だから、忍の彼氏の話を聞いてるみたいでちょっとツラい…」
そう言って彼は長い睫毛を少し伏せた。
「馬鹿ね…私の彼は貴方よ?」
「その実感がないんだよ…」
忍は少し迷ったが右京の隣に腰を下ろすと「ねぇ」と下から顔を覗き込んだ。
「…確かめてみたら?」
驚く右京の襟を掴むと少し引き寄せる。
徐々に縮まる距離に胸が高鳴る。
「知ってる?右京はキス魔なのよ?」
「えッ!?…俺キス魔なの!?」
「そうよ。」
キッパリ言い切る忍に右京は少し笑った。
「最低じゃん…“俺”」
そう言いながら忍の唇に触れるだけのキスをした。