イジワルチェリー
……はっ!
なんかついつい一部始終を見入ってしまった…
あたしは常に、控えめに、冷静にいなきゃいけないのにっ!
そ、そうだ…
読書でもしてればいっか…
そう思って、カバンから小説を取ろうと手を伸ばした。
その時。
「よぉー…」
「ひゃっ…」
目の前に立っていたのは…
さっきの男子生徒。
サクラだった……。
髪は黒で、無造作にセットされている。
切れ長の目に、スッと通った鼻。
片方の口角が上がった口。
右目の目尻の横に、小さな泣きボクロがある。
まぁ確かに、女子達が騒ぐのも頷けるくらいかっこいいかも…