そばにいて





そして数ヶ月後、龍之介さんと薫子さんの一周忌が行われた。2人が好きだった桜も満開に咲いてとても綺麗だった。






僕は東雲家を継ぐことを決心し、離れを出てからは毎日勉学にいそしんだ。でも、愛する人とは巡り会っていない。


僕に本当にできるのかな?








「お前はまだ若い。急ぐ必要はない」








父さんはそう言うけど、不安なものは不安だ。一周忌も終わり、桜の花も少しずつ散り始めた。僕は、龍之介さんと薫子さんが初めて出逢った公園に足を運んだ。



何度も取り壊しを計画されたが、龍之介さんが阻止したらしい。きっと、薫子さんとの思い出の場所をなくしたくなかったのだろう。







公園は昔と変わらない姿で残っていて、僕はベンチに腰を落とした。




公園には小さな子供が元気に遊んでいる。2人も元気な子供が欲しかったんだろうと、なんだか無性に悲しくなってきた。












< 101 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop