そばにいて
「あの…、大丈夫ですか?」
「え?」
いきなり話しかけられて驚いた。
僕に話しかけてきたのは、僕と同い年ぐらいの女性で手には買い物袋を持って少し息が切れているようだった。
「いえ、その、具合が悪そうだったので…」
女性は多分、僕が具合が悪そうに見え慌てて駆け寄ったのだろう。
「…はは」
僕は久しぶりに心が暖かくなった気がした。女性は僕がいきなり笑ったのに、驚いたのか面白い顔になっていた。
「すみません。大丈夫です。あの…」
その時春の一番風が吹き、公園に咲いている桜の花びらがいっせいに舞った。