そばにいて
薫子さんは腰の長さまで短くなった髪を拘束されていた布で器用に結びあげた。
でも、その格好で出るのはマズいと思う。
白髪は仕方ないとしても、ずぶ濡れのままの服、しかも丈がバラバラに刻まれていて裸足。
「僕家まで替えの服を持ってきます」
「ああ、このままでは流石に外は歩けないか。頼んだ。あと、もう時間も大分たったはずだ。ひとまず、お前は家に帰れ」
確かに、大分時間がたった。
持ってきた時計を確認すると11時を回っていた。昼過ぎに洞窟に入ったから軽く半日も時間が経っていた。
でも、1人にして大丈夫かと迷っていると背中を蹴られた。