そばにいて






僕が住んでいる本家から離れは、そう離れてはいない。そして、僕は離れにつくと迷わずに戸を叩いた。







[ドンドン]




「…誰です?」



「龍之介さん、僕です。少し時間をください」








しばらくすると、重たい引き戸が静かに開いた。








「辰巳、久しぶりですね。中へどうぞ」








少し伸びた後ろ髪を1つに結び、優しい笑顔で左の目元の泣きボクロが印象的な【東雲龍之介】だ。


若い頃の姿が似てるといっても僕には、泣きボクロはないけどね。






離れの中は相変わらず、キレイに片付いていた。






「辰巳がここに来るのは久しぶりですね。なにか、悩み事でもあるんですか?」







のんびりとお茶の準備をしている龍之介さん。戸惑っても仕方ないから直球で聞こうと思った。












< 18 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop