そばにいて
昔話※side龍之介
薫子の名前を出された時、私は心臓が大きく跳ねたのがわかった。
そして、薫子が生きていると聞いたら涙が自然とこぼれ落ちた。
「50年前に何があったのか……、薫子との出逢いも全部含めて聞きますか?」
「勿論です。お願いします」
真剣な眼差しで私を見る辰巳に嘘はつけない、全部話そうと思った。
薫子と私の出逢いのことも。
私と薫子を50年もの間引き裂いた、あの最悪の結婚式のことも。私が知っていることを、体験したことも全部。