そばにいて
薫子との間に子供がほしかった。
薫子と子供と桜の木のそばの家で暮らしたかった。
でも、それはもう叶わないと思った。
華のことを憎く思っても京助に何の罪もない。私は、京助に東雲家を継ぐための知識や技術を全て教え込んだ。
私の時と同じで逃げようとすることも何度もあった。その時は、私が薫子に言われたことを言った。
『お前、しののめ家のヤツだろ?お前は将来、しののめ家の上に立つ男なんだろう?何百何千者ヤツらを引っ張らなくちゃいけないんだろ?上に立つヤツが逃げだしたら、みんなついてこないぞ。今は苦しくても必ず役に立つときは来るはずだ。弱音は吐いてもいい。でも、逃げちゃダメだ』
このことを思い出すと、私は頑張れるように思えた。