そばにいて
僕は、印刷をした新聞記事を龍之介さんに差し出した。
「…これは?」
「それは、50年前の事件の新聞記事です。この記事を読んで何か気になることはありませんか?」
しばらく新聞記事を繰り返し読んでいた龍之介さんは、眉間にシワを寄せ険しい表情になった。
「何か気になることが?」
「…この記事のことはよく覚えていますよ。やはり、何度見ても位が高い人間にしか出来ないことだと思います」
確かにそうだ。
警察までも味方に付け、罪を犯していない者を地下に投獄するなんて普通の人間にできるはずがない。
地下にもしかすれば何らかの書類が残っているかもしれない。
薫子さんも地下に誰か来たか知っているかもしれない。