そばにいて
私は本当は薫子のことは嫌いじゃない。
小さい頃からの目標でもあり憧れだった。自分と1つしか変わらなくても、自分より年下の女の子が国のために日々研究をしている。
私もいつか薫子のように何かのために、役立つような人間になりたいと思った。
そんな中で告げられた薫子と兄様の結婚の話。自分の憧れの人と自分の大好きな兄の結婚。本来なら喜ぶべきなのに喜べなかった。
憧れの人を兄様に盗られてしまう。
大好きな兄を薫子に盗られてしまう。
そんな気持ちが私の心の中で渦巻いた。
「貴女、この結婚を壊したいと思わない?」
私の中でどす黒い感情が出始めた頃に、桜宮晴美にそう尋ねられた。
そのときの私はおかしかったに違いない。