そばにいて






私は本当は薫子のことは嫌いじゃない。

小さい頃からの目標でもあり憧れだった。自分と1つしか変わらなくても、自分より年下の女の子が国のために日々研究をしている。



私もいつか薫子のように何かのために、役立つような人間になりたいと思った。






そんな中で告げられた薫子と兄様の結婚の話。自分の憧れの人と自分の大好きな兄の結婚。本来なら喜ぶべきなのに喜べなかった。





憧れの人を兄様に盗られてしまう。

大好きな兄を薫子に盗られてしまう。



そんな気持ちが私の心の中で渦巻いた。








「貴女、この結婚を壊したいと思わない?」








私の中でどす黒い感情が出始めた頃に、桜宮晴美にそう尋ねられた。


そのときの私はおかしかったに違いない。











< 75 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop