そばにいて
2人は手をずっと繋いだまま。
端から見れば仲がよすぎる祖父と孫だろうな。でも、2人が幸せそうでよかった。
その後は、薫子さんは龍之介さんと一緒に離れに住むようになった。
洞窟の地下は『もう、あんな悲劇を思い出したくない』と薫子さんが言い出したので、爆破し埋め立てられた。これでよかったんだと思う。
そして1年後の春、桜が満開の季節になった。薫子さんと龍之介さんの住む離れの周りには桜の花びらが舞い散っている。
僕は久しぶりに離れを訪ねた。
手土産の桜餅も忘れずに。