もう1度…。
《大地 side》
「んっ…痛ぇ」
目を覚ませば、座った体制で寝たせいで腰や関節などが痛い。
座ったまま寝るもんじゃねーな…。
「…ん?麻実?」
抱きしめている麻実もいつの間にか目を閉じて眠っている。
「ハァ…お前が眠れないって言ったからテレビを観てたのに…お前が寝てんじゃん」
少し微笑みながらよだれを垂らして麻実は寝ていた。
悪夢は見てなさそうだな…。
ん?
麻実の顔をよく見れば
「こいつ…俺の服によだれ付けて眠ってるよ…ハァ」
人の気も知らずに…。
俺の腕の中で安心して眠る麻実が正直憎かった。
「なぁ…麻実。
なんでお前、勝手に俺じゃない他の男と付き合ってんだよ」
眠っている麻実が答えてくれる訳じゃないのに問い掛けてしまう。
「なぁ…麻実。お願いだから…もうどこにも行かないでくれよ」
もう一度強く抱きしめたい。
こんな"幼なじみ"としての関係じゃなく、
"恋人"としてまた抱きしめたい。