もう1度…。
「麻実っ」
「…大地」
「お前コンビニにいろって言っただろ。何時だと思ってんだよ。危ねーだろ」
「…ごめん」
「ハァ…行くぞ」
大地はため息をつくと、手を差し出してきた。
あたしはその大地に手を差し出しそうになった瞬間手を止めた。
「どうした?」
「…なんでもない」
"あの頃を少し思い出しただけ"と言いそうになってやめた。
あたしは大地に手を差し出すことを止め、自分で立ち上がった。
大地の車に乗ると2人はずっとマンションまで無言だった。
先に言葉を発したのは大地からだった。
「どっち?」
その一言で大地が何を伝えたいのかすぐに分かる。
「…あたしん家」
「了解。俺行こうか?」
「…今日は1人で考えたいからいい」
「分かった」
マンションに着くとあたしは403号室に。
大地は404号室に入った。
入る瞬間、大地が話したくなったら、いつでも俺を呼べと言ってくれた言葉に
心が少し軽くなった。