僕たちのこと
割烹料理屋とコンビニはユキが働いていた。
コンビニは、近所のおじさん夫婦が経営していて
母も働いていたから仕事というより手伝いだったし
割烹料理屋は"親方"と二人きりの小さな職場。
客も少なく細々とやっていた。
毎日親方と飲みながら仕事をして、
閉店後は店から歩いて行けるショットバーで更に飲む。
料理屋にお酒を配達してくれるお兄ちゃん"カズくん"と仲良くなって
二人で飲む事も多かった。


そんなに仕事を持って、生活はどうしていたかというと
車は「あきない広場」という無料の駐車場兼ちょっとしたイベントに
つかわれる広場に停めていた。
大好きな車だし、中も広い。



…要するに。車で寝ていた。



朝になると配達の途中で酒屋のカズくんが起こしてくれる。
もそもそと目を覚ますと車を走らせ
市民温泉に行く。
市民温泉は丁度立地がよく、最初の仕事である漫画喫茶の近くだった。



そしてまた一日が始まる。


そんな生活を1年ほど経験し、配達の仕事に就くのだ。
理由は「そろそろキツイかな」って思ったから。
なんでもあっさりだ。
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