僕たちのこと
横須賀は都会ではないが、田舎育ちのユキからすれば
バスが夜走っているだけでもびっくりだ。
歩いてコンビニに行けるなど
夢にも思わぬ生活なわけである。


しかし、そうそうのんびりもしていられない。
借金を持って嫁いだのだ。
仕事を探さなければ!
職業安定所なども行ってみたが場所も何もわからない
状態で職を探すのはなかなか困難だった。
だが、ここでもカルチャーショックを受ける。
自給があまりにも違う。


結局ユキが仕事を決めたのは
スロット専門店なのだが
(やっぱりパチンコ屋が好きなのだ)
アルバイトにして自給1300円。
関東に住む方々には普通なのかもしれないが
僕たちの地元では最低賃金610円の世界だ。
1時間700円で毎日掛け持ちをしてまで
長時間労働していた頃が馬鹿みたいに思えてもしょうがないぞ。


スロット専門店は、故郷のパチンコ屋が恋しくなるほどに
華やかで綺麗な場所だった。
中山さん(仮)が週5日フル稼働した。
休みが続いて病院に行ったのは
このスロット専門店である。


中山さんは、華やかな場所がお好きらしいが
ユキはやっぱりパチ屋といえば場末が好きだ。僕も。
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