詩-ウタ-


「じゃなくてさぁ、柚縷くんの事」


柚縷?

別にゆぅの話題だったら日常茶飯事だった。


でも、いつもと違う。

いつもは笑いながら話すくせに、今日は真剣っぽい。


「昨日高校の公開授業行ったらしくて、帰りに事故ったらしい!」

「ゆぅが!?」

「え?ゆぅって……優奈!?」


ウチは何も考えずに駆け出した。

でも、考えてみたら病院なんてわかんなくて、生きてるか死んでるかの情報すら聞かないで来ちゃったから、どうしようもなかった。

とりあえず落ち着こうと思ったけど、手は震えたままで……。


「……きっと、嘘だよね。だって平気で嘘つく奴らだし……」
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