詩-ウタ-


泰斗に初めて会ったのは、卒業式の日だった。


卒業式を終え、葵の家に向かおうと思っていた時だった。

駅の外にある公園のブランコに男の子が座っていた。

同い年くらいの男の子で、胸に作り物の花がついてる事からも、中学を卒業したばかりだとわかる。


ただ、嬉しそうではない。

悲しそうに、俯いている。


いつかの自分を思い出す。

あれは……ゆぅが事故ったと聞いた日……。


気になったから話しかけてみた。

これが泰斗との出会いだった。


「……何一人で遊んでんの?」


どう見ても遊んでいるようには見えないけど、なぜかそう聞いていた。
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