詩-ウタ-
「……」
「は?無視?」
無視なんて慣れてる。
アイツと別れてから、無視が増えてったから。
その時、ズボンが濡れている事に気付いた。
一滴ずつたらされたような跡。
「……泣いてんの?」
「違うよ」
「泣いてんじゃん」
なぜだか、アイツの話をしたくなった。
まだ俯いて顔も見えないのに、全く知らない人なのに、なぜだか話したくなった。
その悲しみを、軽く出来れば……って思ったのかも知れない。
「ウチさ、ちょうど三年前に彼氏と別れたんだ」
「……なんでそんなこと……」
「まぁ、聞いてやってよ。それがさ、ヒドいんだよ?ウチただ利用されてただけだったの。相手六年で転校してきた奴だったんだけどさ、自分がモテすぎて女子がうっとうしいからってウチを彼女にして遠ざけてたの」