詩-ウタ-


彼が少し反応したような気がしたけど、まだ続けた。


「俯いてないでさ、ウチの顔見てよ。可愛いから利用されたんだって。それでひねくれちゃってさ、今こんなんなっちゃったんだよね」


不意に彼が顔を上げて、ウチを見た。

目が真っ赤で、かっこいい顔なのに眉間にしわを寄せていた。


「何アンタ、案外カッコいいじゃん。そんでね、ウチは裏切られたって被害者ぶってきたわけ。でも10月に加害者になったの。浅い付き合いしてた奴らに内緒にしてた事がバレて、裏切り者扱い受けるようになったわけ」

「……裏切り……?」

「いい方の噂されてる奴が幼なじみだって、トモダチに言わなかったんだよね。でも親しい呼び方で呼んじゃって、バレた。その幼なじみにも今は会えなくてさ、事故ってね。会う勇気がないわけ」


反応を見せ出した彼に目を向けると、少しだけ笑っていた。
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