詩-ウタ-
「もう忘れなよ、優奈」
新学期の放課後、公園の桜を眺めているウチに、後ろから声をかけられた。
「泰斗……」
待ち合わせをしていた彼が来た。
彼氏というわけじゃないけど、もう一緒に帰ることが当たり前になっていた。
「その言葉そのまんま返すから。まだ元カノ忘れてないくせに」
「……あれは、仕方がないんだよ」
「ウチも仕方ないし」
泰斗は別れた彼女のことを引きずっている。
ウチも、別れた彼氏のことを引きずっている。
泰斗は元カノの名前を教えてくれないけど、何が起きたのかは教えてくれた。
ウチも教えた。
その結果、ウチらは一緒にいることを決めた。
アレだよ、類は友を呼ぶってやつ?
ウチと泰斗は似てる。
本気だった相手に捨てられた。
……ううん、最初から利用されてただけだった。