詩-ウタ-
─2─
八月、泰斗と映画を見に行った。
それは感動もののラブストーリーで、泰斗はボロ泣きしてた。
泰斗って案外泣き虫かもしれない。
まぁ、出会ったときから泣いてたし。
映画館を出ると、とても見覚えのある人が目の前にいた。
四月は家でだとか言ってなんだかんだで家出していたけど、結奈と話すようになってからは全く行ってなかった。
……ここに、まさかあおがいるなんて、思いもしなかった。
泰斗の家の近くの映画館。
確かにあおの家も遠くはない。
それでも、会えるとは思ってもみなかった。
しかも……あのあおが男連れ……?
驚いて話しかけることも忘れて、そのままいきなり走り出したあおをじっと見ていた。