詩-ウタ-


インターフォンを鳴らすとすぐに家から出て来た泰斗。

その顔は嬉しそうな、悲しそうな、とらえようのない顔だった。


「泰斗……」

「……うん、少し、話を聞いてほしいんだ」


そう言って笑った泰斗の目は、少し赤かった。


部屋に通され、まず最初に言ったこと。


「泣き虫泰斗」

「え!?な、なんで……」

「目、赤いし」


泰斗は黙った。


「ほら、さっさと話しな。話聞く為に来たんだけど」

「……あぁ、うん」


泰斗が泣いたのは、出会った時と映画の時。

出会った時は彼女と別れたって理由だから……もしかしたら彼女が関係してんのかもしれない。


……あ、"元"彼女だ。
< 25 / 27 >

この作品をシェア

pagetop