詩-ウタ-
どこに行ったのかも知らないし、迎えにも謝りにも来てくれない。
あれからもう三年が過ぎた。
もう来ないと、ウチは諦めている。
「吹っ切れそう?」
「うん。優奈、ありがとう」
「なんでウチ?」
「色々と話を聞いてくれたから。支えになっていてくれたから」
ちゃんと支えられてたんだ……。
感謝されることには、まだ慣れない。
照れくさくて……すごく嬉しい。
「ありがとう」
「別にいいよ、大したことしてないのに」
逆に、ウチの方が感謝したいくらい、だし。
今までずっと、何をしていてもアイツの事が頭から離れなかった。
でも今は……泰斗と同じ時間を過ごしてる時は、泰斗しか見えてない。
本当に、あの時話しかけてよかったと思う。
初めて会った時のことを思い出しながら、泰斗に微笑む。
「優奈」
優しい声で、名前を呼ばれる。
今日はなんだか、ドキドキする。