クロッカーの金庫
『おじいちゃん、私は本が好きよ?性格も大人しいし、自分でも常に冷静だなって思うの。
でもそんな私は嫌!本を読んでると楽しいのに、本当の自分はこうじゃないのかな?って思うの……』
本当の自分とはどういうことなのでしょう?
『王子様への想いも……好きになりたいのに!!』
好きになりたいのにとは、好きになれないということなのでしょうか?
泣く少女に王子様は後ろからそっと近づき抱きしめました。
少女は突然の抱擁に驚き身動ぎます。
『きゃ!だ、誰!?』
「僕だ」
『お、王子様!?』
「どうして泣いてるの?辛いことがあったら僕に話していいんだよ」
『あの、王子様?いつから私の側に……?』
「図書館の時から」
『追いかけてきたのですか!?』
「うん」
少女は顔を赤くし、あたふたし始めます。
そんな少女に王子様はギュッと強く抱きしめました。