クロッカーの金庫
しかし。
男の子が19歳の誕生日を向かえた日のことです。
クロッカーの金庫が男の子の女の子への想いと女の子との思い出を金庫に封印してしまったのです。
男の子の周りの人も男の子と女の子の思い出を忘れさせられました。
男の子は女の子を忘れ、女の子はというと……?
クロッカーの金庫は持ち主の最愛の人を忘れさせるだけでなく、持ち主の想い人のその人格を真逆に変えさせてしまうのです。
女の子は男の子を忘れ、大人しく、冷静な女の子に変わってしまいました。
でも不幸中の幸いか、女の子の祖父がクロッカーの金庫を最初に開けた人物故に、金庫の影響を受けずにいました。
男の子の父親は自力で金庫を開けた人物で、金庫の力が男の子に影響するのを恐れ、女の子の祖父に預けたのですが、既に金庫は持ち主を男の子と認めていたらしく、男の子は最愛の人を忘れてしまったのです。
男の子の父親と女の子の祖父は、このまま二人が愛し合う仲になった時、そして二人に金庫の力が影響された時、必ず二人を結ばせようと約束を交わしました。
そして、その約束は叶ったのです。