クロッカーの金庫
『本当に開けてくれてよかった……』
「戻ってよかった。本当に大事なものを失うところだった……」
男の子……いえ、王子様は記憶を取り戻し、
女の子……(もう少女ではないのですから王女様と呼びましょう)王女様は人格が戻り、王子様も思い出すことができました。
『後悔してない?私が本当の自分に戻って……』
「戻ってじゃないだろ?今じゃ前の君も今の君も本当だろ?」
『もちろん!最高の王女様になったわ!』
二人が変わったところは、王子様は柔らかくなり、たまには王女様を頼るようになったところ。
王女様は新しい人格のおかげで知的さや冷静さを持つことができ、益々王女様らしくなったところでしょうか。
「ところで金庫の具体的な開け方ってなんだったの?」
『ああ、金庫の前で真実の愛を証明することよ』
「真実の愛?」
『本当に愛しているのなら外見だけを愛してるわけないでしょう?
中身も愛していたとしても、人格が変わったその人をまた愛することができるのかと金庫に問われているのよ』
「そして僕は再び君を愛し、愛の口づけをすることで真実の愛を証明できたわけか」
『そういうこと』
王女様は王子様に向けニコッと笑いました。
この笑顔は幼い時から変わらないものです。
「その笑顔を絶やさないと誓うよ」
王子様は再び王女様にキスをしました。