狼は王子様!?
「そうよ。今この村には、美麗ちゃんを含めて5人の子供がいるけど、村の人はみんな美麗ちゃんが一番可愛いんだよ」
「なんで?」
「手のかかる子ほど可愛いんだよ。私だってそうよ」
なんで手のかかる子が可愛いんだろう。邪魔じゃないの?
「どうして?」
そう聞くと、香奈姉ちゃんは、クスッと小さく笑った。
「なんで笑うの、お姉ちゃん」「別に」
そう言いつつ笑ってばかり。
私以外は可愛くないってこと?そんなのかわいそうだよ。
「美麗ちゃんは、まだ大人になれないかもね」
「みれ子供のままでいいもん。大人になんてなりたくないよ」香奈姉ちゃんは
私の手を優しくとった。
「大人になれば、いいことがたくさんあるのよ?」
「たとえば?」
「好きな人と結婚したりとか」「みれ好きな人いないもん!」「あとは、一人で村の外に出られるんだよ?」
「村の外なんて行きたくない!みれ、ずっとここにいるもん」香奈姉ちゃんは
小さくため息をついて
立ち上がった。
「美麗ちゃん、変わってるね」その言葉を言った香奈姉ちゃんの顔は、大嫌い。
普通じゃないねって言われたみたいで、ショックだった。
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