お姫様は最強ヤンキー
街の噂
噂のあの人
「美衣娑~いるー??」
他クラスの教室の中で人の名前を呼ぶと誰もがこちらを振り向くだろう。
そう彼女もその一人であり名前を呼ばれた張本人。
とてとてとこちらに寄ってきた少女はこのクラスの女子のグループでも一際目立つ容姿をしていた。
ハニーブランウンに染めた髪、耳にピアス、少し高めの身長、切れ長一重の目は深い紫色をしていた。
なんといっても異常じゃないのは矢霧 美衣娑が纏う空気。
でも容姿とは裏腹に美衣娑は無垢という言葉が似合う性格だった。
「可奈子だ!どうしたの?珍しいね♪」
「ほら、英語の訳文。やってないんでしょ?」
「そうだった!ありがとう可奈子、助かった☆」
美衣娑が微笑んだ瞬間、犠牲者が続出した。そんなことを美衣娑が知るわけないのだが。
「別にいいよ、にしても・・・すごいね。」
「なにが?」
「天然かっつぅの。視線だよ、し・せ・ん!!!」
美衣娑はキョトンとしつつ後ろを見てみた。
ザッ
皆はただそわそわしているだけだった。
時折、チラチラとこちらを見ては顔を赤らめる男子。
だけどずっとこちらを見続ける人など見当たらない。