お姫様は最強ヤンキー
* * * *
案外あっさりと用件をのんだ乱舞蝶。
理由は知らねぇけどラッキーだ。
俺は緑頭に顎で『離せ』と命令した。
気性の荒い青頭は思いっ切りマユカを突き飛ばした。
さっき俺に散々殴られたマユカは危ない足取りで歩く。
今にも泣きそうな顔をしている。
俺はそれを満足げに見つめる。
だが、俺の至福な一時、それは一瞬にして壊れた。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ゛ッ!!」
甲高いが、質のある声。
悲鳴らしきものを上げた乱舞蝶。
手が震えている。
その顔は怒りに満ちている。
「ッ・・・」
予想外の展開に俺は少し戸惑う。
こんな乱舞蝶を見たのは初めてで、いつもは冷静沈着な姿しか知らない。
「どうしたんだよ、乱舞蝶」
とりあえず声をかけて様子を見る。