無愛想なCinderella
先輩はこの会社で唯一私のことを知っている。
入社したときからずっと指導してもらっていたし、なにより信頼の置ける人だと思ったから。
それでも、それ以上の感情はわかない。
…いや、それ以前にそういう感情がよくわからないのかもしれない。
「…まぁ、無理にとは言わないからさ。無理強いすんなって松島にも言っておくし」
先輩は立ち上がるとそう言い残し、自分の研究室に戻っていった。
「…恋人、ねぇ」
ひとりになった私は、思わずそうこぼしていた。