無愛想なCinderella
そんなこんなで、相手先との交渉はひとまず終了。
あとは相手先で会議をして正式決定かどうかを判断する段階まで来たようだ。
私も一通りのことを説明し、大役を務めたことにほっとしていたときだった。
「…あぁ、桐生さん。少しよいかな?」
松島千尋が相手先の社員と談笑していると、相手先の営業部長から声をかけられてしまう。
さすがに無視もできず、私は言われるがままに商談をした部屋より少し離れた部屋に通された。
…なんだってんだ、このオヤジ。
いかにも下心ありありな表情で私を見てくる彼に、私は嫌悪感でいっぱいになった。
「なにか…?」
私がそう尋ねた瞬間だった。