無愛想なCinderella
「―――ごめん」
気づくと私は、松島千尋に抱き締められていた。
ほんのり香る香水。
そっと、柔らかく私を包む腕。
全部が初めてで、私は息が止まりそうだった。
「ごめん。あの人手癖悪くて有名だったのわかってたのに………桐生さん、綺麗だから」
そう話す声は私のすぐ耳元から響いて、なんだかくすぐったい。
「…綺麗?誰が?」
言われたこともない言葉を聞き返すと、松島千尋は自分の身体から私を離し、私の頬に手を添えた。