無愛想なCinderella
その次の瞬間、パイプ椅子が音を立てた。
その音に反応して振り返ると、松島千尋は立ち上がって私のことをじっと見つめている。
「―――俺が本気で桐生さんのことを好きでも?」
そう問いかける声は至極冷静で、でも悲しそうな声色だった。
「そう。そんな不確かな感情、私には必要ないから」
「…なにか、あった?」
「なにもないけど。…ないからこそこう言えるんじゃない」
そう答える声は思いの外部屋中に響いて、私はなんだかいたたまれなくなった。