無愛想なCinderella





松島千尋の濡れた髪が。
静かな吐息が。
あたたかさが。


―――全部が、耐えられない。






「お願い、離して…」


「だったら教えて?桐生さんがどうしてそんなに頑ななのか」


そう言われ、私の胸の奥が軋む。



「なんであなたなんかに」


「納得できないから。…好きな女に拒否されて理由すらわからないなんて」


彼はそう言うと、その大きな手で私の目を覆った。





< 57 / 132 >

この作品をシェア

pagetop