無愛想なCinderella





そして、私が中学2年生に上がってまもなくのことだった。



『―――ただいま…』


誰もいないとわかっていながらも、一応そう言って玄関のドアを開ける。


居間のテーブルには通帳と印鑑、そして一枚の置き手紙があった。



“ごめんなさい”


そう書かれた手紙で私は悟った。


…あぁ。
捨てられたんだ。


実の母親に。
唯一の肉親に。


―――いつの間にか降り始まっていた雨と一緒に、私もどこかへ流れていってしまいたかった。





< 60 / 132 >

この作品をシェア

pagetop