無愛想なCinderella
―――それから。
彼女を見つけては話しかけてみたが、全く相手にされない。
人間を避ける野良猫のように、俺に警戒している。
…先輩が言っていたのはこれだったのか。
―――その頃、本社ビルでは俺が研究開発部の女に夢中になっていると噂が立っていた。
…確かに夢中だった。
なんとか仲良くなりたい一心で、俺はめげずに彼女に話しかけていた。
今考えれば、このときすでに俺は桐生菜月を本気で好きになっていたんだろう。