無愛想なCinderella
そんな私を見て、松島千尋は焦ったような声を出す。
「転ぶからそんなはしゃぐな!パンダは逃げないから」
「だって早く並ばないと早く見れない…」
「わかったわかった」
そんなやりとりをしながら私たちはパンダ舎の列に並ぶ。
「―――しかし、そんなに動物園に来たかったの?」
並んでいると、隣にいる彼はそう尋ねてきた。
私は一瞬口をつぐんだけど、呟くように答えた。
「唯一の思い出だから」