無愛想なCinderella
―――まだ父親が生きていた頃。
親子三人でこの動物園に来たことがあった。
その日もやっぱり晴れていて、私は両親を見上げて思いっきり笑った。
親子三人の思い出。
…もっともっといっぱい作れるはずだったのに。
「…パンダ、まだ見れないですかね」
私がそう言うと、不意に私の手の甲に彼の指が触れた。
それがそのままゆっくりと私の指に絡み、繋がれていく。
「小さい手だな」
囁くようにそう言われて、私の頬は熱を帯びていくのだった。