無愛想なCinderella





「はい、どうぞ」


おみやげ屋を後にしてすぐ、松島千尋は私にさっきのぬいぐるみを渡してきた。



「………やっぱりお金払います。入場券も払ってもらっちゃったし」


そう。
入場券は事前に買っておいてくれたらしく、私がそれ相応の代金を渡そうとしても受け取ってくれなかったのだ。


私がちらりと彼の様子をうかがうと、彼は私の頬を撫でる。


その指先が私の頬に触れた瞬間、私の心臓がはねた。



「だったら、そろそろ俺のこと名前で呼んでくれないかな?…“あなた”じゃ物足りない」


そう言って意地悪そうに笑うのだった。





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