こころ




どうしてかな?私達はあまりにも苦しんでいて、ただお互い寄り添いあうことで少しの休息を得ていた。

お互いに、お互いの忘れられない存在をおもって、傷を持ち合って、もう帰ってこない魂を望んでいたんだ。



愛していたか、わからない。ただ、必要だった。この時は。ただ、お互いが必要だった。お互いの傷を知り、分かち合えるお互いを。


気がつけば、私達の唇は重なってた。
二人とも、泣いてた。だからそのキスは、涙の味がした。



その涙はどちらのものか、わからなかったけど、どちらでもよかった。



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