こころ
最期の時
「明日の朝、ここを出ていくわ。」
進君はもう、何も言わなかった。
私は、強情だから。
一度決めたら考え直さないことを彼も知っているのだろうか?
温かな体温に包まれていた私の体は、それを失い、心許なく揺れるけれど。
私にはもう、ここにとどまって、縋ることが耐えられない。
『愛していれば』
全て乗り越えられると、誰かが言ってた。
でも……
『愛しているから』
お互いを傷つける二人は離れるしかないのだと思う。