こころ
そういって、私をみつめる瞳は、相変わらず優しい。

「俺さ、兄貴がどうして強かったのか、わかったんだ。兄貴は、優しさと、こころに譲れないものをもっていたからだ。俺もやっと、みつけた。」







「あなただよ。俺……まだまだだけど、でも。今の俺なら、俺にとって一番大切な人を守ること位ならできると思う。」

進君の目に、迷いはなかった。その目に、私はもう一度恋をした。

もういいか、と思った。

私は進君が好きだ。とても、とても。
進君は、強くなった。ずっと彼を縛ってた真を、彼は乗り越えた。
私も、真への想いを乗り越えて、彼と一緒にいたいと思った。

「兄貴のこと、忘れなくていい。この世での一番が俺なら、あの世での一番が兄貴でも、いいよ。」


< 209 / 213 >

この作品をシェア

pagetop