こころ
ふと目覚めると、私の頭を抱き締めて、遠くをみつめる進君が目に入った。
彼はとても格好よかった。
真に似てる部分はあるけど、そっくりというわけではない。優しそうで、でも目元はりりしくて、瞳は吸い込まれそうな黒色。真も格好よかったけど、一般的にはきっと、真より進君の方が女の子受けする顔だ。
「………不思議ね。」
「心さん?起きてたんだ。」
私が声を出すと、すぐに私をみてくれる。
「今さっきね。そばにいてくれてありがとう。」
「心さん、俺の腕を放さなかったから。」
進君がそっと笑いかけてくれる。
私は必死に笑顔を作って返したけれど、ぎこちなかったかもしれない。
「何が、不思議なの?」
「進君とは、今日出会ったばかりなのに。そばにいるとこんなにも落ち着くのはなんでかな?」
「さぁ?そう言われて悪い気はしないけどね。でも、」
「………でも?」
「俺も、同じことを思った。」