近すぎた距離

始まり

『かゆ、ちょっとってば。聞いてるの?』
『えっ?!ごめん。なんか言った?』
『ははぁーん。さてはかっこいい男子でもいたのね。それとも好きな人?教えなさいよ!!』
『はぁぁぁ、何言ってんの!この子にそんな人いるわけないでしょ。“空と海の果て”の〈かいと〉と〈じゅん〉の関係に夢中な腐女子だよ。』
『かっ、勝手に決めつけないでよね、美沙。もしかしたら、かっこいい男子がいたかもよ??それに腐女子は余計だよっ!!』
『いやいや、かゆは二次元にしか興味ないに決まってるよ。ねぇ、千夏。』
『だよねぇぇ。まあ、私と美沙は腐女子じゃないし、二次元なんて興味ないけど。やっぱり、同級生との恋愛よ。青春を謳歌するわよぉぉぉ。』
(千夏、気合はいってるなぁ。あ、あれ?しゃべってる間にいなくなっちゃった。スタイルよくて、頭もいい朱堂さん・・・・。こないだの中間は1位なんだよね。すごいなぁ。朱堂さんって彼氏いるのかな。そりゃいるよな・・・・。)
『かゆ、妄想もほどほどにしときなよ。』
『なっ、なんで分かっ』
『じゃあ、あたしは放送部員だから先に行ってるね、。二人とも集合時間にだけは遅刻しないようにね。』
『ああ。美沙は放送部だったっけ・・・。頑張んなさいよ・・・・。そういえば、かゆは何の競技にでるの?』
『えっ?なんのこと、千夏。』
『なんのことって・・・。今日のスポーツ大会のことだよ。私はイケメン探しのために応援という名目で出ないけどね。』
『ただ、スポーツ苦手だから出たくないくせに・・・・。』
『なんか、言った?だいたい、こんな暑い8月の夏休み中にわざわざスポーツ大会ってどうよ。しかも、欠席したら宿題が2倍になるって。まだあたしたち、中1なのよ。のんびりすごさせてよね』
『しょうがないよ、先輩たちよりは楽だからいいじゃんか。先輩たちは欠席したら夏の課題が中2は3倍で、中3は4倍だよ。しかも、先輩たちは補習があるんだし。』
『ちょ、ちょっと?!何?その情報は。誰から手に入れたのよ!!まさか、イケメンの先輩じゃないでしょうね。』
『としにぃ、からよ・・・・・。』
『なんだ。あの“並”の顔のおにいちゃんの、ね・・・・。残念。』
(なによ。その言い方!!いくらうちのにぃが並でも!!!ってどうでもいっか。)
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