空と海が交わるとき
「えっ?」
彼の突然の言葉に私は一瞬詰まる。
「一応知り合い…だけど、今はそれ所じゃないよ。早く帰らないと、他の人に見つかったら…。」
「空の民に見つかったらヤバいって事ぐらい分かってる。けどこれを、どうしてもあの兄ちゃんに渡したくて…。」
背中に隠していた右手を前に出す。
彼の右手に握られていたのは
一輪の、海色の華
「凄い…綺麗な華だね。」
吸い込まれそうな深い海色
こんな綺麗な華…見た事無い
「海底にしか生息しない華なんだ。あの薬のおかげで、母ちゃん元気になったからさ…。お礼に渡したいんだ。」
そうか
この華を、湊に届ける為に
この子は危険を犯して陸地まで…
「…どうしてそこまでするの?」